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食道がんDisease

食道がん

はじめに

食道がんは従来欧米に多い疾患でしたが、近年食生活の変化、胃食道逆流症(GERD)の増加、ピロリ菌感染率の低下により今後日本でも増加が懸念されている疾患です。
男性で多い疾患で発症は60歳代が最も多く全体の約4割程度を占めます。

食道がんの原因

食道がんの発生には、喫煙、アルコール、食事などの環境的要因が大きく関わるとされています。また頻度は少ないですが、逆流性食道炎が起因となるバレット食道から発生しやすいとされる食道腺癌などもあります。
また地理的な要因も大きく、アジア(中国北部)、中東、南アフリカやヨーロッパの一部と他のヨーロッパでの発生する食道がんの種類(扁平上皮癌か腺癌)が異なりますが、原因はわかっていません。しかし遺伝子異常がこの病気の背景に存在することはわかっています。また男性に多い病気です。

食道がんの症状

まず食道がんの早期がんの定義は胃癌や大腸がんとやや異なります。
少し専門的な話になりますが、壁深達度が粘膜層にとどまり、リンパ節転移がないものを早期がんと定められています。また壁深達度が粘膜下層までにとどまるものを表在癌と呼びます。
早期の状態では多くが無症状で内視鏡検査などを行わないと診断はできません。進行がんの状態となれば食道が狭くなるので嚥下困難や胸部違和感を感じることが多いです。
進行がんの約8割以上が自覚症状を訴え病院を受診して診断されているのに対して、早期がんの約6割は検診や人間ドックなどで受けた内視鏡検査などで偶然に発見されていますから、ヘビースモーカー、アルコール(特にアルコール度数の高い飲料)を多く摂取する方は、定期的に検査を受けることをお勧めします。

食道がんの診断
内視鏡検査

最も有用な検査法です。
従来の色素内視鏡(ヨード染色など)に加え近年では拡大内視鏡を用いた内視鏡検査がより有用とされています。

 

X線検査

主にバリウム(白い液体です)を摂取してもらい、レントゲンを撮影して診断をする方法です。内視鏡検査に比べると早期がんなどの診断能力は劣り、近年の内視鏡診断能力が上昇した結果スクリーニング検査としての有用性は失われています。
しかしこの検査の利点もあり、手術前の部位診断や瘻孔の存在診断には有用です。

 

CT、MRI、超音波内視鏡など

周囲の組織への浸潤、リンパ節や遠隔臓器転移などの診断に有用です。
特に超音波内視鏡検査は癌がどれくらい深く浸潤しているかなどの診断や周囲臓器への浸潤の有無、リンパ節腫大の有無などの診断に有用です。

治療
内視鏡的切除

早期がんが適応となりますが、すべての早期がんが内視鏡切除の対象となるわけではありません。
早期食道癌内視鏡治療ガイドラインにて治療適応が決められており、早期がんの多くは内視鏡切除の適応になりますが、一部の腫瘍系が大きいもの、病変数が多いもの、また少し奥まで浸潤しているものは相対適応となり次に述べる手術治療や放射線化学療法のほうが適する場合もあります。専門的な話になりますので、詳しくは主治医にお問合せしてみてください。

 

外科的切除

内視鏡切除適応例や他臓器転移陽性例を除いた食道がんに対して標準的な治療法です。
食道がんは頸部、胸部、腹部食道と部位が分けられますが、それぞれの部位によって術式は異なります。
近年は食道がんにも積極的に内視鏡手術が行われており、従来の開胸手術と比べ根治性はほとんど変わらず、傷が非常に小さいことから術後の回復が早い利点がありますが、手技的に難易度が高くどこの病院でも行われている手術ではありません。
症例数が集中する病院が、治療成績も高い傾向にあります。

 

放射線化学療法

欧米では外科的手術に匹敵する治療法として盛んにおこなわれていますが、わが国では手術療法の成績が他諸国に比べ良好なことから、主に切除不能な食道がんに行われています。

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